バウンダリーレスキャリアと IT エンジニア
技術者とキャリアの話です
イントロ
キャリアに関する書籍を掘り出して読み返している中で、 バウンダリーレスキャリア という単語が目に留まる
この著作から引用する
マイケル・アーサーは、変わりつつある新しいキャリアのあり方を「インテリジェント・キャリア」もしくは「バウンダリーレス(境界なき)・キャリア」 - 職務、組織、仕事と家庭、産業の壁を越えて動くキャリア ー と読んでいる
『働くひとのためのキャリア・デザイン』 P.52 から引用
別の説明も引用する
バウンダリーレス・キャリアとは、ひとつの組織の中だけでキャリアが展開される従来の組織キャリアに対して、1つの企業や職務といった境界(バウンダリー)に閉ざされた範囲を超えてキャリアが構築されるものと考えます。バウンダリーレス・キャリアを歩む個人は、異なる企業や業種の境界を横断しながら、新たなスキルや経験、ノウハウを獲得し、自律的に成長を重ねていきます
【人材育成】組織内キャリアマネジメント(2)|コンサルタントコラム|人事評価制度の構築、評価者研修、運用コンサルティング │ ブレインパートナー
さて、自分や同僚の姿でもって この単語を咀嚼してみよう。( Web に関係する ) IT エンジニアにとっては バウンダリーレスキャリアの考えは、特に珍しくもないのかなとも思う。
例えば
- 会社で開発しつつ、OSS 開発にもコミットして技術を磨く・発揮している
- 会社に限らず、大学や研究機関なども含まれるかな?
- 会社に所属しつつ、OSS 開発者としてのフルコミットを本流のキャリアとしている方もいらっしゃらるな
- 国の境界を超えての活躍もあろ
- ブログ、勉強会、カンファレンス、執筆等でアウトプットをかさねて、他の技術者からも広く認知されている
- 技術顧問で複数の会社に携わり業界横断的に活躍している
- ... etc
... 等々と例をあげいくことができるように思う。
注) 話が発散しないよう 「IT 技術者としてのキャリア」だけにスコープをとどめておきたい 。趣味やプライベートで別のキャリア (例:音楽活動とか) を掛け持ちしているような例もあろうが捉えきれない。
よくよく『働くひとのためのキャリア・デザイン』を読み進めたら 以下のような記述があった
... アーサーの唱える「バウンダリーレスキャリア」のモデル(手本)はどこにあるのか ... (略)
まずその典型的モデル (手本、見本) となる人物は、たとえば、シリコンバレーで活躍する創造的な起業家やハイテク産業のエンジニアである シコリンバレーでなくとも、より一般的に、開発エンジニア、起業家、コンピューター・コンサルタント などにもあてはまる。
しっかり ITエンジニアも射程に含んでいた
『働くひとのためのキャリア・デザイン』は 2002年の著作で、当時はキャリアのあり方としてまだ珍しい事例だったのかもしれないが、20年も経過した今だとバウンダリーレスキャリアの話は、私の周りでも「ごく ふつう」に存在するくらいの概念になっているのだなと思った。
ところで バウンダリレス だけでも一つの用語として提唱されたものらしい
「バウンダリレス」(boundaryless)とは、直訳すると「境界(バウンダリ)のなさ」という意味で、企業の従業員が部門や役職、立場、事業所の所在地など、組織内外のあらゆる境界を超えて自社に貢献しようとする姿、あるいはそうした価値観を指す用語です。1990年代初めに、米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の当時の社長兼CEOジャック・ウェルチ氏が自社の目指すべきビジョン、組織や人材に求めるバリューを象徴する言葉として提唱しました。
ITエンジニアの話だと、SRE や DevOps / DevSecOps あたりも組織内での <バウンダリレス> の例に挙げられるのだろうか。これもまた肌感で理解できる概念である。
誰も彼もがバウンダリーなふるまいをするのがよいのか よく分からないところもあって、それはまた個人のキャリアの話から組織の話にスコープが広がるところなので 感想を書くのは控えておく。